霊南坂付近散策
先に進むと、霊南坂教会があります。以前は赤煉瓦のゴシック様式の教会堂 （設計：辰野葛西事務所）で、山口百恵が挙式を挙げたことでも有名になりました。 アークヒルズ周辺の再開発のため、ここに新築し（設計：ヴォーリズ事務所）、 移転してきたものです。
中には、昔の教会堂の模型や小礼拝堂（写真）、柱、窓などが一部保存されていますので、 時間があれば見学させていただきましょう。
この先は白い塀に囲まれたアメリカ大使館です。 アメリカの建築家マゴニグルおよびレーモンドの設計により大使館、公邸、 職員宿舎が建てられました（昭和6年）。 現在は公邸部分が残っていますが、外からでは今ひとつよく見えず、残念です。 警官が常時 警備していますので、不審がられない程度に観察してみてください。
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お隣りのホテルオークラ敷地内に伊東忠太設計の大倉集古館があります。 政商・大倉喜八郎が邸宅内に建てた美術館で、中華風のデザインです（昭和2年）。
さて、実は「霊南坂付近散策」と言いながら、どの坂を霊南坂と呼ぶのか、 よく知らなかったのでありますが (^^; 先ほど調べました。 アメリカ大使館とホテルオークラの間の坂が霊南坂でした。 慶長〜寛永期に東禅寺があり、 「嶺南」という和尚がいたそうです （その後、このお寺は高輪に移転。今でも付近は寺町であり、 アメリカ大使館西側に5軒ほどのお寺があります）。
オークラの向かい側に見える洋館（旧高田邸）は個人宅ですので、
そっと眺める程度にしましょう。
隣りには昭和初期の数寄屋建築の旭化成寮、
明治時代に建てられた洋館のある日鉄鉱業葺手寮
が軒を並べています。近代建築ファンには実に濃い場所です。
アメリカ大使館の方に戻り、信号を左に曲って進めば、スペイン大使館（昭和2年）があります。
門を入って右手が大使公邸、左手が大使館事務所（写真）で、
ガーディナー建築事務所の設計によるものです。
ガーディナーはハーバード大学で建築を修め、
立教学校校長を務めたあと、設計事務所を開設した人物で、
聖ヨハネ教会堂（明治村）の設計などで知られています。
1925年に亡くなったとき、スペイン大使館は工事中だったそうです。
以前、雑誌に内部が紹介されていたのを見ると、
古典様式風の装飾豊かな すばらしい空間が広がっていました。
ぜひとも末永く残してもらいたいものです。このあたりの旧町名は麻布市兵衛町で、永井荷風が暮した偏奇館（空襲で焼失）も近くでした。 偏奇館は御組坂を下って60mほどのところだったようですが、現在は 大々的な再開発の工事中でした。地形すらも残っていないようで...
（1999.12 記、2000.01 一部修正）
【追記】スペイン大使館について石井さんからご教示いただきました。ありがとうございます。
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