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【明治生命館の特別公開】
【前書き】（2005年9月） 久々の刊行となりました。
約一年がかりで明治生命館（重要文化財）の修復も終わり、 木場の東京都現代美術館では、岡田ゆかりの企画展（2005年9月23日-12月4日）が行われます。* 月刊岡田信一郎バックナンバーの目次はこちら。
編集：Okada-Club .
修復工事の終わった明治生命館のお披露目が行われます。 2005年9月16日(金)から25日(日)の期間(平日 12:00-18:00 土・日・祝日 11:00-17:00) に特別公開を実施。
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/
この後は、東京都文化財ウィークでの公開を経て、12月以降は定期的に公開される模様。 なお、旧営業室の一部はラウンジとして公開スペースになりました。【東京府美術館の時代】
木場の東京都現代美術館で2005年9月23日-12月4日まで「東京府美術館の時代 1926〜1970」 という企画展が行われます。1970年までに開催された4つの展覧会の出品作がメインですが、 設計者・岡田信一郎関連の展示もあり、美術館の建築模型や部材（手すり、ライオンの彫刻）、 美術学校出身のデザイナー梶田恵の家具などが展示されています。 （会場は上野ではありませんので、ご注意を）
http://www.mot-art-museum.jp/ex/plan_h17-1.htm【岡田外伝・岡田の両親】
岡田信一郎の父（謙吉）は千葉の農家出身、母（いち）は一関の御典医の家柄、という話は以前から 知られていたが、両者のつながりについて、多少判明してきたので、ご紹介したい。
謙吉は明治初年、大学東校（東京医学校）で学んだあと、陸軍に入り、薬剤官になった。 （創刊号でもふれたように）のちの軍医総監・石黒忠悳が上官であった。 いちは一時期、石黒の家に預けられて育ったという話もあり、 兄は陸軍の軍医だった。 こうした関係から、岡田の両親は、石黒か、いちの兄の紹介で結婚した可能性が高いと考えられる。謙吉は日清戦争の後、病気で亡くなるが、生まれたばかりの捷五郎をはじめ、育ち盛りの子どもたちを抱えたいちにとって、 石黒の存在が頼りになったことと思われる。 当時の岡田家は東五軒町にあったが、その後の住まいも薬王寺町（大正初め）、神楽町（大正9年以降）と いずれも牛込区内であり、石黒の住んでいた牛込区揚場町から近い距離であった。
（ちなみに、 神楽坂の岡田邸跡は、現在東京理科大学の敷地になっている）
【歌舞伎座の建替え検討】
2005年になって、松竹と歌舞伎座が「歌舞伎座の建替えを検討」と公表しました。 歌舞伎座は2002年に国の登録文化財になっており、所有者側が何らかの形で保存することも 検討しているのかもしれませんが、詳細は明らかにされていません。
（登録文化財といっても保存の義務はなく、事前に届出れば取壊しも可能ではあります）【岡田作品を発見】
- ・南大東島の記念碑
- 岡田が遺した設計図面の中に「玉置半右衛門記念碑」があります。これが沖縄の南大東島にある 「玉置記念碑」と同じものなのかどうか、中々現地の確認ができずにいたところ、 同村役場の協力により、同一物件であることが判明、ということです。 これで「北は北海道（日銀小樽支店）から南は沖縄まで」 岡田作品が残っていることが確認されました。
http://www.jal.co.jp/dom/city_info/japan/mmd/ * 後半に紹介文があります。- ・沢庵和尚の碑
- 同じく岡田の図面の中に、沢庵和尚の碑がありますが、品川の東海寺墓地を訪れたところ、 図面通りの碑がありました。鉄道の父、井上勝の墓所などがある一郭です（品川区北品川 4-11-8）。 亀を台座にする例は初めて見ましたが、寛永寺などにも事例があるということです。 ただ、碑文に刻まれた年号は江戸時代のものでした。従って、以前からあった碑に 岡田案による台座を付け加えた、ということかもしれません。
【今井兼次展】
8月まで多摩美術大学美術館で、今井兼次展が開催されていました。 早稲田大学を卒業後、同校の教壇に立った今井は、岡田の教え子でもあり、同僚でもあり、 関わりの深い建築家です。 学生時代の課題設計「西洋住宅」や一万人講堂案（大隈講堂案）の石膏模型など、 興味深く見ました。今後、多摩美術大学では今井兼次資料の整理を進めるそうなので期待しましょう。【後記】
・明治生命館の特別公開に合わせ、急遽作成しました。写真がなくてすいません。 （2005年10月1日一部修正）
月刊 岡田信一郎 増刊号13
（2005年9月15日 発行）
編集者：Okada-Club（Mail）
作成協力：近代建築ＭＬの皆さん